「女性活躍推進」「一億総活躍社会」の掛け声のもと、育児と仕事の両立が叶うようになってきた。
私(筆者・おさかべ)も両立を願って、マタハラ(マタニティハラスメント)を社会問題化し、産休・育休の取得、その後の復帰で働き続けられるよう推進してきた。
しかし、それが「ほかの誰か」へのしわ寄せで成り立っているとしたら、それは本当の意味での「一億総活躍社会」ではない。
その「誰か」は今、会社組織の中で「子どものいない人」を指すことが多いように思う。
そして、「子どものいない人」のなかには、子どもを積極的に望まなかった人もいれば、流産・死産・不妊治療の経験者といった子どもが欲しかったのに得られなかった人も当然いる。
組織がある方向に進もうとするとき、その余波を受ける人の存在は「ないことにされる」、あるいは「(その人が不利益を我慢することは)仕方ない」とされがちだ。
さらに、社会規範や先入観によるマイナスイメージがある場合、当事者の思いを表すこと自体が憚られる。
かつては、妊娠・出産・子育てしながら働く女性の声がかき消されていたが、今は子どものいない社員が声を上げづらい状況のように思う。そのような状況は本来あってはならない。
結婚していても、していなくても、子どもがいても、いなくても、すべての人にとって働きやすい社会であるべきで、よりよい職場環境にしていくためには、あらゆる立場の声が必要だ。
9月16日に、「子どもがいないことを理由に職場で不快な経験をされた男性&女性へのアンケート調査」が発表された。
会見した市民団体「ダイバーシティ&インクルージョン研究会」は、「調査は決して対立を招くものではなく、真にインクルーシブな組織づくりの一助となることを願って実施した」と述べた。以下に、調査結果とそれを踏まえた企業への要望をまとめた。
(インクルーシブな組織とは、企業内すべての従業員が仕事に参画する機会を持ち、それぞれの経験や能力、考え方が認められ活かされている状態のこと。)
※なお、9月14日~20日は欧米が中心で展開されている「World Childless Week」です。
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